イギリスの蒸気機関車を取り巻く最大の話題は、なんと言っても旧LNER(London and North Eastern Railway) の二代目A1形蒸気機関車の新製と言えます。旧LNERは東海岸線と呼ばれる、ロンドン・ヨーク・ニューカッスル・エジンバラ間の幹線を主体に営業した戦前のイギリスに於ける4大鉄道の一つです。戦後LNERの主席設計技師に就任したペパーコーンの設計による優れた急行用蒸気機関車で、完成は4大鉄道が英国国鉄に統合後となりました。この形式の保存機は存在せず、新製復元の気運が高まり2008年8月には完成、試運転を経て本年より営業運転の運びとなりました。現在夏のシーズンには毎日曜日にブリストルからタゥトン・エグゼター・ペイントンを経て更に保存鉄道であるペイントン・ダートマウス鉄道に乗り入れる運用にほとんど毎週活躍するほか、その他の特別列車にもリクエストに応じて活躍しています。新製機だけあって大変好調な走りを披露、最高速度は160km/hですが、認可速度は120km/hとなっていますが、時にはとても120km/hとは思えない物凄いスピードで疾走する事もあるようです。
続いての話題は時を同じくして旧LMS(London Midland and Scottish Railway)で活躍した、コロネーションタイプの6229号機、「ダッチェス オブ ハミルトン」号の流線形復元があります。 1938年に誕生したこの機関車はLNERの有名な流線形蒸気機関車、A4形と覇を競い、西海岸線のロンドン・グラスゴー間を主体に活躍しました。戦後はすべて通常形に改造されてしまいましたが、このたび流線形への復元が完成、コークの国立鉄道博物館にその麗姿を現しました。予算の関係で今回は動態にまでは至らずではありますが、いずれは動態とする計画です。