スイスにあるレーティッシェ・バーンのベルニナ線は、スイス国境に近いイタリアのチラノ(海抜約400m)から70‰の連続急勾配で海抜2257mのアルブラ峠を越えて、有名なリゾート地であるサン・モリッツまでの延長約60.6㎞の登山鉄道である。途中長大トンネルやラック式を用いずにアルプスの急峻を越える唯一の鉄道で、沿線の息をのむような見事な車窓風景は世界的にも広く知られている。峠のオスピッツォ・ベルニナ駅は、ラック式ではない通常の鉄道としてはヨーロッパで最高地点の駅である。この付近で撮影する時には余り走り回ったりすると空気が薄い為、あとで大変な事になるから注意を要する。日本の箱根登山鉄道建設の際にこのベルニナ鉄道を模範としたことは、日本でも有名な話で、現在両社は姉妹鉄道となっている。
この線には1978年以来たびたび訪れ、J誌などに本邦初公開の記事でご紹介したものもあるが、現在ではすっかり有名になってしまった。ここでは1978年当時と最近の情景を比較しながらご覧いただくことにしよう。